四国遍礼道指南増補大成
三十八番・蹉■【アシヘンに陀のツクリ】山
{深山を背後に控えた低い山にある。南向き}補陀洛院金剛福寺と号する。昔からあったが、勅によって空海が再興した。本尊は高さ六尺の千手千眼観音菩薩像、二十八部衆も並ぶ。いずれも空海作。{古仏である。}役行者が修行の時、多くいた天狗を呪伏した。天狗が足摺りして悶えたため、蹉■【アシヘンに陀のツクリ】山と呼ばれている。空海が唐で投げた五鈷金剛杵が落ちていたため、金剛福寺と称する。観音の霊場であるため、観音が主宰する補陀洛世界から院号をとった。数々の霊験を目の当たりにして、人々が感動している。
詠歌「補陀洛や ここは岬の舟の棹 執るも捨つるも 法の沙汰/蹉■【アシヘンに陀のツクリ】山」
寺山まで十二里。真念庵に戻り、成山村・狼内村を通る。{真念庵から}ここまで山路で谷川を通る。上中谷村に標石がある。{昔は左の道を通ったが、現在は右の道を行く。}増水時には、左の道がよい。江之村には川があり、増水時には、村の人が{庄屋や村の老人が遍路を}助け渡してくれる。磯川村・焼米坂・有岡村・山田村を通り、幡多郡中村に至る。
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