四国遍礼道指南増補大成
 
六十五番・由霊山{三角寺}

 {東向き}慈尊院と号する。本尊は空海が作った高さ六尺二寸の十一面観音菩薩立像。弥勒堂があるため、弥勒菩薩の別名である慈尊を院号としている。空海が使った三角の護摩壇があるため、三角寺と呼ぶ。奥の院は金光山仙就寺。三角寺から五十八町の坂道を行く。高山で険しい岩場を登る。空海が修行した場所で、空海像を本尊としている。{奥の院の八町手前に大久保の集落がある。家は二三軒だ。荷物を置いて行くとよい。ただし、奥の院に一泊する場合は、荷物を持って行く。奥の院の本尊は、空海自作の御影。詠歌は「極楽は よもにもあらじ この寺の実りの声を聞くぞ立つとき」旧跡は多いので、略する。奥の院から荷物を置いた場所に戻り、雲辺寺へ向かう。大久保を過ぎて一昼村。そこから平山村へ出る。奥の院から山道が続く。三角寺から雲辺寺へ直接に行くときは、左に曲がる。}
 詠歌「恐ろしや 三の角にもいるならば 心を丸く弥陀を念ぜよ」
 雲辺寺まで五里。金川村。内野々村に坂がある。平山村。{茶屋がある。}半田村。{観音堂がある。}領家村。{観音堂がある。}だいお村。葱尾村には宿を貸してくれる善人がいる。この坂の峠が、伊予と阿波の国境となっている。{大境と呼ぶ。}雲辺寺まで二里は阿波分。佐野村。{地蔵堂と}阿波国番所がある。通行切手を改める。ここにある清色寺{真言宗の寺であるが}国主が遍路人を労るために建てた。雲辺寺まで五十町の坂が続く。以上が伊予国分。
                         
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