四国遍礼道指南増補大成
 
八十一番・白峯寺

 {山上に建っている。堂は北西に向き}綾松山洞林院と号する。空海の開基。補陀洛山から流れてきた霊木で、智證大師が高さ三尺三寸の千手観音菩薩立像を作った。崇徳天皇を葬った廟は、立派なものだ。{稚児が岳と呼ばれる高さ百余丈の峯がある。延宝年中六月、後に備州安那郡曽根原・宝泉密寺の住持となった雲識が十八歳のとき、幼かった空海の捨身の誓いを真似したのであろうか、この岳から飛び降りた。夢うつつに、黄衣の僧が半腹で受け止めたと感じた。道行く商人や寺の僧たちが見て、驚き焦って受け答えするうち人が集まり騒ぎが大きくなった。そこへ思いも掛けず、道もない百余丈の谷から雲識が飛び出してきた。仏や神が為す不思議なことに、凡俗の考えは及ばないものだ。
 詠歌「霜寒く 露白妙の寺の内 御名を唱うる法の声々」
 根来寺まで五十町。{山道が続き、村はない。この間に一宮への標石がある。}
                                      
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