四国遍礼霊場記
▼瑠璃山日興院瑞運寺(六番)
板野郡引野村にある。昔から温泉があり、様々な病に効果があった。仏の大いなる慈悲のうち顕著なものだ。このため空海が高さ一尺三寸の薬師如来像を作り、美しい堂を建てて安置した。次々に参詣者が訪れ、医王の霊験にあやかろうとした。寺は繁栄し、十二の堂が所狭しと並んで、鈴や鐘の響きが絶えることはなかった。しかし戦争のために没落し、ほかの坊は再建することができずに、跡のみを残すことになった。鎮守の天照太神社がある。弥勒菩薩の霊像、空海の御影が、どうにか残っている。
昔温泉があったので、温泉山と号していた。今では瑠璃山と呼ばれている。中世、温泉に人や獣の死体が入ってしまい、それを嫌って使われなくなったという。
また、もとは安楽寺といっていたが、国の太守から寄進をうけたとき、瑞運寺と改名した。境内は二町四方だという。
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