四国遍礼霊場記
 
▼得度山灌頂院切幡寺(十番)
 

 
 阿波郡切幡村にある。伝承によると、空海が始めて来たとき、空から五色の幡一流が降り、上半分は西へと飛び去り、千切れた下半分が、この山に舞い落ちた。怪異を伝えようと空海は寺を建て、切幡寺と名付けた。本尊の千手観音は秘仏で、開帳することがない。両脇に不動明王と毘沙門天を配置している。これら三尊は、空海の作。
 堂の右には大日堂、隣に鎮守と御影堂がある。ここから眺める海は、絶景である。傍らに冷泉がある。汚れた人の心も浄化されるという。空海時代のものだとして、花形の壇が崩れながらも堂内に残っており、人々を驚かせている。古仏が多い。
 本堂の左方に鐘楼。前にある中門の多聞天・持国天は、運慶の作。
 左の岩山に龍王の祠がある。空海が阿伽井を加持すると、清水の様子が尋常ではなかった。このため龍王を祀った。
 西の山の尾に、以前の寺跡がある。二町四方で周囲に築垣が巡っている。ほかにも寺の跡は多く残っている。今の寺は、昔の寺の塔が建っていた場所だ。
 暦応年中、参議三位源朝臣直義が納めた願文が残っている。導師は宥範阿闍梨。直義は、足利尊氏の弟である。
                          
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