四国遍礼霊場記
 
▼法養山金色院国分寺(十五番)
 

 
 国分寺は、聖武天皇が天平九年に詔勅を発して諸国に建てたものだ。高さ一丈六尺の釈迦如来像・四天王像を置き、大般若経を写させて、頒布した。各国の税を割いて納めさせた。吉祥懺を修し金剛般若経を転じ、豊饒を願い厄を払うものである。代々、国家から費用の給付を受けていたことは史書に明示されている。しかし、その権威が失われる前に、官吏や豪族たちに収入を横取りされ、荒廃するところもでてきた。廃帝天皇の時代、宝字の末年、諸国司に命じて実態を調査させた。その後、延暦・大同年中にも寺領・寺田を侵し仏教を蔑ろにする者があったので、再び禁令を発した。昔でさえ、このような状態であったから、千年を経た現在の荒廃は、仕方のないことだ。阿波の国分寺も廃れてしまい、名を残すのみとなっている。小さな堂に薬師如来像を安置している。一人の腹を空かせた旅の僧侶が、竹窓から通う風に曝されながら、横になっている。嗚呼。
                       
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