四国遍礼霊場記
 
▼八兼山求聞持院禅師峯寺(三十二番)
 

 
 清く幽玄の素晴らしい景色を愛でて、空海が寺を建てた。本尊を作ろうとしたとき、天から梵字のキャが降ってきたため、これを本尊とした。キャは十一面観音を象徴する文字である。
 中世には火災に遭ったが、火焔の中でもキャ字は損なうことなく残った。以後、秘蔵している。
 奥の院と称する所に、二つの龍穴がある。岩屋に毒蛇がいたので、空海が赴き座禅を組んで仏を思い浮かべると、毒蛇は逃げていった。空海は代わりに、持っていた数珠を置いた。今でも霊宝として残っている。
 山院寺号には訳があると聞く。由来を書いた紙の最後に、そこらの者が伝える歌も記されていたが、色々考えてみたが意味が解らなかった。だいたいにおいて、寺の唱歌は拙い言葉なので、拙い人が更に作り替えて様々に伝わるものだ。上手な人の口に載るものではないので、ますます採るに足らぬものになっていく。
 寺の前に御手洗と呼ばれる大きな池があるらしい。真念が調べ洩らしたので、どのような場所か分からない。
                      
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