四国遍礼霊場記
 
▼■【マダレに臾】嶺山慈尊院三角寺(六十五番)
 

 
 宇麻郡にある。本尊は高さ六尺二寸の十一面観音像で、空海の作。甲子の年に開帳する。弥勒堂が残っており、慈尊院の号が思い合わされる。慈尊とは弥勒如来の別称である。昔は、阿弥陀堂、文殊堂、護摩堂、雨沢龍王など、様々の社や堂が並んでいたという。社前の池に浮かぶ島には数囲いの杉の老木が立っている。空海の目の前で、この池から龍が出現したと伝えられている。■【マダレに臾】嶺は中国の梅の名所。昔はここにも梅が多かったため、ちなんで名付けたのだろう。
   付記
 奥の院は金光山仙龍寺と号する。五十八町離れており、岩を登り険しい山道を進むことになる。本尊は空海像。一の橋・二の橋があり、十八間の回廊を構えている。南には、仙人堂がある。釈迦嶽は、空海が修行した場所という岩窟が残っている。峻険な岩山で、白雲が足許で生じるほど高く、鳥の鳴き声さえ聞こえない。幽玄の境地であり、俗塵から遠く隔たっているという。
 
四国遍礼霊場記巻七終
                             
 ←逆   あとがき→             
 
現代目次  総目次  四国遍礼霊場記目次   四国遍礼道指南目次
 
 
 


100MB無料ホームページ可愛いサーバロリポップClick Here!