四国偏礼道指南増補大成【土佐分】
 
   土州 十六ケ所
廿四番東(ひかし)寺【南むき】 安喜(あき)郡 室戸(むろと)山明星(みやうじやう)院最
御崎(ほつみさき)寺といふ霊験(れいげん)あり大師求聞持(くもんち)を
修(しゆ)し給ふ地あり明星(みやうじやう)来影(らいゑい)有是によつ
て虚空蔵(こくそう)の尊像をつくり安置(あんち)して
がらんを立たまへり
大師の御詠歌 法性(ほつせう)の室戸(むろと)といへと我すめハ
       うゐ乃波(なみ)風たヽぬ日そなき
【本尊図】明星(みやうじやう)の出ぬるかたのひがし寺
     くらきまよひハなとかあらまし

此山下の岩屋口のひろさ六七尺奥へ六七間
愛満権現(あいまんごんげん)又東の岩屋入事十七八間あり。
坂より【異体字】上ハ女人きんぜいなり此わたりに世俗(せそく)の
いへるくハず芋(いも)有。是より【異体字】津(つ)寺迄一里。十町
ほど下リ坂。つろ浦女人是へいづる。【指南に「よきみなと」】石の切どをし皆人目をおどろかすむろつうらも
おなし石の切とをし也【指南に「右両所のみなと大きなるけいゑい筆にもつくされず」】
廿五番津寺【指南に「ふもとより半丁。いしだんミなミむき」】 安喜郡【指南に「室津浦」】 宝珠(ほうじゆ)山真言(しんごん)院津照(しんしやう)寺と
云大師の建立(こんりう)本尊地蔵■【クサカンムリに廾】坐像大師御作

【本尊図】のりの舟入かいづるか此津でら
     まよふわか身をのせて給へや
是より【異体字】西寺迄壱里少し行川有。うきつ浦
過てしるし石有女人ハ是より【異体字】左へゆき行道崎
と云所に大師御作の不動(ふどう)あり女人ハ爰に札
を納(おさ)む【指南に「此さきに土石と云名物の硯石有。とる事ハならず。によ人はこれよりくろミ村へいづ」】是より【異体字】くろミ村へ出る男ハ右へ行小川有
もと村是より【異体字】西寺へ四町坂なり
廿六番西寺 安喜郡 龍頭(りうづ)山光明院金剛頂
寺(こんかうてうじ)と云大師御作建立(こんりう)本尊医王善逝(いわうせんせい)大師

此尊像を作り終つて像にむかひて尊像
支躰(したい)すでに備(そな)ハれり行て座し給へと有し
時像ミづから立厨子(ずし)へ入給ふとや故永代秘仏(ひぶつ)
【本尊図】往生にのそミをかくるごくらくハ
     月のかたふくにし寺のそら
是より【異体字】神峯(かみのみね)寺迄七里。くろミ村。きらかハ村
川有。はね浦西寺より【異体字】三里此間川有山坂ふかし。
かりやうご浦此間はね石と云うらべ也。なわり
浦町あり此間大河(か)舟(ふね)わたし。たの浦よき町

なり【指南に「此間八幡宮。大師堂。寺も有」】此さき安田川。安田浦町有此町はづ
れにしるし石有。だうのはま。かうの峯(みね)まで坂
麓【林のしたに下】(ふもと)に庵(いほり)有【指南に「ようしん庵」】荷物(にもつ)爰(こヽ)におき札しまひてよし
廿七番 神峯(かうのみね)寺【指南に「山上堂南むき」】 安喜郡【指南に「たうのはま村」】 竹林(ちくりん)山と云本尊
十一面坐像御長壱尺三寸作者しれず此山高
くのぼる事一里九折(つヽ【濁点】らおり)山上に堂あり魔境(まきやう)
なるが故(ゆへ)に申(さる)の刻(こく)より【異体字】後(のち)ハ人ゆく事を得(え)ず
【本尊図】三仏のちかひ乃心かうのミね
     やいばのぢごくたとひありとも

此わたりにくわず貝といふも乃あり【指南に「この谷にくわづ貝とてつちの貝に成たる有。是は大師此浦人も貝もち来しに逢たまひ乞ひ給ひけれバ人のくわぬ貝なるよし御いらいしけれバかのものヽけんどんなる事をあはれミ又のちのよのために加持し給ふにより、そのヽちハ煮てもあぶり物にしてもたぶべき物にあらずなりにけれバ、谷へすてヽける。今のよまで石貝となりて有。彼浦人もはづかしく又ありがたくとんぜいしけり」】
是より【異体字】大日寺迄九里。おふ山。かうの村【指南に「次不動堂」】。いおき村
此間川瀬(せ)有【指南に「いおき川あき川二瀬あり」】。あき浦町。しんせう濱砂道(すなみち)一里【指南に「すなふかし。やながれのふもとにちや屋有」】。
山道是をくだりて小川【指南に「やながれ山下りて小川」】わしき村。手井山ふ
もとに茶や有。手井村山中に村有。ミなと町
此間小川。やす濱。きしもと村あかをか村町過て
橋(はし)有。のいち村しるし石有。大たに村
廿八番大日寺【指南に「山上堂ハ南むき」】 かヽミ郡【指南に「大谷村」】 法界(ほうかい)山高照(こうしやう)院と云行
基(ぎやうき)■【クサカンムリに廾】を中興(ちうこう)と云後(のち)大師いたり給ひ復立(ふくりう)

せんとなん本尊大日如来御長四尺五寸行基作
大楠木(くすのき)に彫(ほり)つけの薬師有大師御作
【本尊図】露(つゆ)しもとつミをてらせる大日寺
     なとかあゆミをはこバざらまじ
是より【異体字】国分寺迄一里半ぼたいじ村。ふやうし村此
間に物い【ママ】川大水の時ハ舟わたし也【指南に「市町へもどり舟わたし有。つねハかちわたり」】。とさかしま村。
いわ松村。松本村。上のだ村。はたゑた村此間
川あり。長岡(なかおか)郡国分(こくふ)村
廿九番国分寺【指南に「平地、堂ハ南むき」】 聖武(しやうむ)天皇勅立(ちよくりう)当国のこく

ふんし也今の本尊行基の御作立像の千手
観音御長三尺不動(ふとう)毘沙(ひしや)門を脇士(きやうし)とせり
【本尊図】国をわけたからをつミてたつ寺の
     すゑの世まてのりやくのこせり
是より一のミや迄一里半。此間に小川有。ヤはた
村。此間に小坂あり【指南に「山上に八まん宮」】。でうりんじ村地蔵堂
あり【指南に「本尊石仏御作。此堂としひさしくはそんに及しに当村七郎兵衛再興し大師御影こんりうし并やどほどこす」】。たきもと村坂あり。峠(とうけ)より土佐かう
ちの城見ゆる。長岡郡一のミや村
三十番一の宮(みや)【指南に「平地堂ハ南むき」】百々(とヽ)山神宮(しんぐう)寺と云本尊

坐像の阿弥陀如来秘仏(ひぶつ)作者不知此宮高
鴨(たかかも)大明神也八重(やゑ)の事代主(しろぬし)の命(みこと)の名なり
【本尊図】人おほく立あつまれる一乃ミや
     むかしもいまもさかえぬるかな
是より【異体字】五だいさん迄二里。あそうの村【指南に「国の守の氏神有。此山中におたま屋あり。麓にけんりう院」】山中過て。
ひしまはし。ひしま村にて五だい山への近道(ちかみち)
とふべし。次に丸山あり。かうち城下町入口
にはし有次に番所(はんしよ)往来(ゆきヽ)の手形(てがた)あら
たむ。町にとまる時ハ番所より【異体字】庄やへさしつ

ありてやとかる【指南に「町なかにさゑんば橋、過て農人まち」】。町はつれをミづがしらと
いふ是より堤(つヽみ)【指南に「ひだりハ田也」】右ハ入海ゆきて。たるミ乃
わたし次に及江(きうごう)寺といふ禅(せん)寺有【指南に「ぼんのくもをはらふ。かたはら町」】是より【異体字】
五だいさんへ八町坂なり
三十【異体字】一番五台(たい)山【指南に「たつミ」】 長岡郡 金色(こんしき)院竹林寺と
号(こう)す此所聖武(しやうむ)天皇の御願行基(きやうぎ)ぼさつ
勅(ちよく)によつて建立(こんりう)五髻文殊(ごけもんじゆ)の像を行基
作り給ひ本尊とせりもろこしの清涼山(せいりやうさん)
を移し給へり尤大山華構(くわこう)なり

【本尊図】南無もんじゆ三世の仏の母ときく
     われも子なれハちこそほしけれ
是より【異体字】ぜじぶし迄一里半。五台山より【異体字】八町さがり。
江川舟わたし也。下田村此間坂有。十市村
三十【異体字】二番禅師峯(ぜんじふ)寺【指南に「南むき」】 長岡郡 八葉山求聞持(くもんぢ)院と
云本尊十一面也大師感得(かんとく)のよしありときこゆ【指南に「秘仏」】
【本尊図】しつかなる我ミねもとのせんしふし
     うかふこヽろハのりのはやふね
是より【異体字】高福(かうふく)寺迄一里半。一里ハ海辺(うみべ)なり。
たねさきござ町といふしるし石あり。わた
しへいて此口浦戸(うらと)といふ【指南に「屋形有」】城下へ三里入うミ
舟屋多(おヽ)し【指南に「是より渡し有。五十丁ほと海中。右にさしまといふ小島あり」】。みませ浦。なかはま村
三十【異体字】三番高福(かうふく)寺【指南に「平地南向」】 吾川郡 保寿(ほうしゆ)山今雪渓(せつけい)寺
といふ本尊薬師如来両脇士(わきし)とも大師
御作御長四尺【指南に「本尊薬師坐長四尺運慶作」】
【本尊図】旅の道うえしも今ハかうふくし
     のちのたのしミありあけ乃月
是より【異体字】たねま寺迄二里。小はし小坂あり。

東もろき村。西もろき村山きわにしるし
石あり。次に川わたし有川の瀬(せ)を所の人に
たつねてよし大水の時ハ川上に舟わたし
あり。吾川郡あきやま村
三十【異体字】四番種間(たねま)寺【指南に「たつミむき」】 本尾山朱雀(しゆしやく)院と号す
此寺はしめハ聖徳(しやうとく)太子のとき百済国(はくさいこく)
よりきたりし工匠(こうしやう)のつくりし薬師を
安置(あんち)し本尊とせり坐像御長四尺五寸
今の堂ハ国主(こくしゆ)より立られしなり

【本尊図】世の中にまける五穀のたねま寺
     ふかき如来の大悲(ひ)なりけり
是より【異体字】きよたき迄二里。もり山村。ひろおか村
此間に淀(よど)川といふ大河(か)あり舟わたし也
渡(わた)し場(ば)川上にある時ハ荷物(にもつ)其まヽもちて
行。わたしば大道すじ川しもに有時ハ荷物
高おか町におき札所へゆきてよし
三十【異体字】五番清瀧(きよたき)寺【指南に「南むき」】 高岡郡【指南に「高岡」】 医王(いわう)山鏡智(きやうち)院と
いふ本尊薬師如来日月光十二神ミな

行基の作なり【指南に「秘仏」】大師御影堂(みゑいとう)のわきに真
如親王(しんによしんわう)の御墓(はか)あり
【本尊図】すむ水をくむハ心のきよたきじ
     波のはねちるいわのはころも
是より【異体字】しやうりうし迄二里半。いせき村此間に
小川有。つかち村。宇佐村是よりかち道を
ゆく時ハ此村西荷物(にもつ)をおく。舟にて行時ハ
いのしりへ荷物もち行。ふくしま浦此間入海
わたし有【指南に「舟賃四銭」】。いのしり村【指南に「此所に荷物を置札所へ行」】此間。りう坂。りう村

三十【異体字】六番青龍(しやうりう)寺【指南に「山上堂南むき」】 高岡郡 独股(とつこ)山伊舎那(いしやな)院
と云唐(もろこし)の青龍寺に似たりとて寺号とし
大師唐(たう)より独股杵(とつこしよ)を投(なけ)給ふに此所にとヽ【濁点】
まりしゆへ山号とす本尊不動(ふとう)ハ大師御作也【指南に「秘仏」】
堂より四町ばかり西に奥院(おくのいん)あり
【本尊図】わつかなる泉水にすめる青龍(しやうりう)ハ
     仏法しゆごのちかひとそきく
是より【異体字】仁井田迄十三里。但シいのしりへもどり。
よこなミと云所まで三里舟にてもよし【指南に「此間景よし。左まき馬おほし。又八坂の中八濱の中有」】

かち道ハ宇佐村の西へ出る。うさ坂又はひかた
とも云【指南に「はいかた村」】。かうそ村。しあひ村。しあひ坂。出見(み)村
【指南に「此所をいづミといふ事。花山院離宮の御時。天気ただならずして都のそら御なつかしく。いくたびか門のほかへ出御なりしかバいづ見と名づく」】此所花山(くはさん)院流(なか)されさせ給ふ時御哥大平か
もとへつかハさるとて
 土佐のうミに身ハうき草(くさ)のゆられ来て
  よるへなき身をあわれとそ見ん【指南に「よ」。「御返し大平 あはれをバ/いかに欠カ/あふがん及びなし身ハ入うミの藻がくれにゐて」】
終(つい)に此所にて崩(ほう)じ給ふとなん千光寺に
廟【マダレに苗】(へう)あり。出見坂又たちめ坂とも云。たちめ村。
あかくま坂今ハ通(とを)らすうミべを行。させふ坂

是も過こす。はるき村【するき村カ】。たていし坂。たうわき坂
よこなミ村是まて八坂坂中八濱濱中。いの
しりより【異体字】よこなミ迄舟にてもよし此浦鳴無(おとなし)大
明神とて結構(けつこう)なる宮有【指南に「国主造営の宮。朱門彩瓦景もよし」】一条院の御哥有【一とせ一条院土佐のはたへわたらせ給ふとき なにしあふ人のしらぬもことわりやうらのうちなるをとなしの宮 なにきヽし土佐の入江の舟ちがひのりて見んとハおもハざりしに となん口号給ふよし】。おく
浦村此間ほとけ坂自然石(しねんせき)不動(ふとう)明王あり。
かうた村。とさき村【すさき村カ】。とりこえ坂。今さいけ村
大師堂又すき川。かとや坂。あわ村。やけさか
峠(とうけ)左の方冷(ひや)水あり。くれ村(せんにん有)大道より【異体字】左に町
あり【指南に「たちはな屋平兵衛小左衛門やどほどこす。そのほかこヽろざい有人有」】。そへミヽす坂。とこなへ村。かけの村(せん人有)【指南に「武兵やどかす」】。かい坂村

六たんぢ村。かミあり村。かわゐ村。しるし石此間に少
山越。うしろ川ひき舟有【これハねヽざき村善六遍路のためつくりおく。過て】大河若(もし)水おほき時ハ
まへの山に札納(おさめ)る所有水無頼(すくなき)時ハ五社へまいる
三十【異体字】七番五社【指南に「あり。ひがしむき」】 高岡郡仁井田宮内(みやうち)村にあり
五社の御本地中尊ハ阿弥陀右ハ薬師地蔵
左ハ観音不動なり【指南に「五社ともに秘仏。御作のよし」】別当(へつとう)ハ岩本(いわもと)寺と云是より【異体字】
十余(よ)町をへだて久保(くほ)川の町にあり
【本尊図】六つのちり五つの社(やしろ)あらハして
     ふかきにゐたの神のたのしミ

是より【異体字】あしずり迄廿一里。くほ川村【指南に「此町しもヽと七郎兵衛やどをかし善根なす人あり」】。おかさき
ふるいち川坂あり。ミねのうへ村かた坂くだる。
いちのせ村。たち花川村。こぼしの川村。かいな
村。こくろの川村。ふばハら村此間坂有。くま
ゐ村此間くまこえ坂。ふじなハ村。しらいし。
中つの村。佐賀浦町五社より【異体字】是迄六里【指南に「一の瀬よりこれまで三里」】いよぎ
谷とて山路谷川数々(かず々々)有。白はま村此間に
なだミね坂。いた村【指南に「弥兵衛その外やどかす。是より七八町有」】。いかわ村【ありいかわ村カ。指南に「ありゐの庄司のせきたう有」】。川口村川坂。
うきつ村是より【異体字】うミばたを行ふきあけ川

わたりて塩干(しほひ)の時ハすぐに行ミち塩の時ハ
右へゆく。いりの村。かきぜ川ひき舟あり。た
乃浦是より【異体字】七八丁はまを行しるし石有。むかふ
山はなハ下田道こなたハ舟わたし少まハり道。
でぐち村【いでぐち村カ】此間小川有。たかしま村【たけしま村カ】大川舟わた
し。さね崎村天満と云所に引舟有。まさき
村薬師堂有。さくらふち村【つくらふち村カ】此間いつた坂くだ
りて小川有。いちのせ村さが浦より【異体字】是迄八里
此村に真念庵(しんねんあん)大師を安ず是ハ真念念願(ねんぐわん)

にて此庵をいとなミ遍礼人の労をやすめん
とす是より【異体字】あしすりこえ七里但シ篠山へかく
る時ハ此所に荷物(にもつ)をおき足(あし)ずりより【異体字】もどり
月山へかける時ハ荷物もち行【指南に「初遍路ハさヽやまへかけるといひつたふ。右両所の道あないこの庵にてくハしくたづねらるべし」】此間小川四瀬(せ)
あり。市のヽ村。おがた村しるし石有川有俗(ぞく)に
四万十川と云洪水(こうすい)の時ハ下のかや浦【かゑ浦カ】舟わたし有【指南に「此かやうら太郎左衛門其外やどかすなり」】
常(つね)ハおがたしるし石より【異体字】右へわたり。かいかけ村。く
もヽ村山道。おほき村此間海辺(うみへ)を行過山路(ち)
いふり村大師堂。くぼ川宮あり。つろ村此間山

路(ち)。大たに村。幡(はた)多郡いさ村
三十【異体字】八番蹉■【アシヘンに陀のツクリ】(あしすり)山 【指南に「ひく山。うしろ深山。南向」】補陀洛(ふだらく)院金剛福寺(こんこうふくし)といふ
此寺ハ大師以前(せん)よりありしを勅(ちよく)を奉(うけ)再興(さいこう)し
本尊千手(せんじゆ)千眼(げん)の大悲(ひ)御長六尺二十八部(ふ)衆(しゆ)
ミな御作にて安ず【指南に「古仏」】此山役行者(ゑんのきやうしや)修行(しゆきやう)のとき
天狗(てんく)多(おほ)かりしを呪伏(しゆふく)せしかハ天狗ども足(あし)ずり
もたえけるより蹉■【アシヘンに陀のツクリ】(あしすり)山と云大師唐(たう)にて投(なけ)
給ふ五股杵(こしよ)金剛(こんかう)此山に出でたるゆへに金剛
福寺といへり観音の霊場(れいじやう)なるが故に補陀

洛(ほたらく)を院号とす種々(しゆ々々)の霊験(れいけん)ども人ミな
目にまじへて感(かん)す
【本尊図】ふだらくやこヽハみさきの舟のさほ
     とるもすつるものりのさた山
是より【異体字】寺山迄十二里。右の真念庵へもとり行。
なり山村。おほかめうち村【おほかみうち村カ。指南に「真念庵より」】是迄山路渓(たに)川。上な
がたに村しるし石有【指南に「いにしへハ左へゆきし。今ハ右へゆく」】大水の時ハ左よし。ゑの村
川有水いつる時ハ村の者(もの)【指南に「庄屋并村翁遍路を」】たすけ渡(わた)す。いその川村。
やきこめ坂。ありおか村。やまだ村。はた郡中村

三十【異体字】九番寺山【指南に「山尾うしろにし南むき」】 赤亀(しやくき)山延光(ゑんくわう)寺と云大師御こん
立(りう)本尊薬師如来大師御作也奥院といふ有
迷邃絶塵(めいすいぜつぢん)なり 以上土州(とさ)分也
【本尊図】南無薬師諸病悉除(しつじよ)の願(ぐわん)こめて
     まいるわか身をたすけましませ
是より【異体字】与州観自在(くはんじざい)寺迄七里此内三里半ま
つを坂峠(とうげ)迄ハ土州領(りやう)也。おし岡村。わだ村【指南に「此間うしのせ川」】月山
行の人ハ此わた村へ出る是より【異体字】寺山迄一里荷
物爰(こヽ)におき札納(おさめ)に行此間うしのせ川。すくも(ぜん人有)【指南に「与助やどをかす」】

村町あり此所にて米等調物よし【指南に「与州入口ハ時により八木/こめ/も調がたし。こヽにてしたくしてよし」】。かいつか村
にしき村。こふか原村。大ふか原村番所あり土
州の切手ハ是へ渡す。松尾坂峠土与(とよ)両州の
境(さかい)しるし石有其まへ休(やすみ)所より嶋々【指南に「びりやうかしま。おきの島。ひろせしま。漁家多く」】見ゆる
是より【異体字】与州領(よしうれう)こやま村番所切手あらたむ。
ひろミ村さヽ山へかくる時ハ荷物此所におく。
うハおほたう村。しやうへん村。宇和郡平城(ひようぜう)村
          
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